30代女性 腱鞘炎の改善症例(ホルモンバランスの変化、育児動作)

主訴

2025年4月に、「産後2ヶ月頃から右手の親指と手首が痛む」とご来院されました。
特に授乳時の抱っこやおむつ替え、沐浴などで赤ちゃんを支える時、哺乳瓶を持つ時などに痛みが強くなるとのこと。朝や育児の後にはこわばりを感じ、最近は親指を動かすと「ピキッ」という音(軋轢音)がすることもあるとお悩みでした。

育児による手首への負担を感じておられました。

症状が改善したらしたい事:

  • スムーズに育児を行いたい(抱っこ、授乳、おむつ替えなど)
  • 痛みやこわばりのない日常生活を送りたい
右手の親指と手首

初回施術

施術の写真

右手の親指、手首、前腕の筋肉に強い緊張と押した痛み(圧痛)、動きの制限を確認しました。

  1. 安静の重要性を説明
  2. 炎症を抑えるためのアイシング指導
  3. サポーターによる手首の固定指導
  4. 負担軽減のための抱っこや授乳姿勢の提案
  5. 周囲の筋肉の緊張を緩和する優しい手技療法

を行いました。

施術後、痛みがわずかに軽減したように感じるとのことでした。

2回目の施術(1日後)

痛みはまだあるものの、こわばりは少し軽減してきたとのことでしたので、

  1. 右手の親指、手首、前腕の筋肉の緊張を緩和する穏やかな手技療法
  2. 鍼灸施術(鎮痛、血行促進、炎症抑制目的)
  3. 自宅でできる簡単なストレッチと温熱療法(温湿布など)の指導
  4. 育児動作(抱っこ、授乳姿勢、おむつ替えの工夫など)の見直し

を行いました。

3回目の施術(2日後)

育児中の痛みが少し軽減。軋轢音はまだ時々感じるとのことでしたので、

  1. 右手の親指、手首、前腕の筋肉の緊張を緩和する穏やかな手技療法
  2. 鍼灸施術(鎮痛、血行促進、炎症抑制目的)
  3. 手首や指の可動域を広げる軽い運動療法指導
  4. 育児の合間の適切な休憩の取り方、家族のサポートの重要性について説明

を行いました。

1ヶ月後

日常生活での痛みは軽減し、以前より楽に育児ができるように。
ただ、長時間の抱っこや授乳ではまだ痛みが出るとのことでしたので、

  1. 手首、指の軽い筋力トレーニングとストレッチの指導
  2. 改善した育児動作、休憩の継続
  3. 負担の少ない育児グッズの使用

を行いました。

2ヶ月後

集中的な育児後の痛みも軽減してきたとのことでしたので、

  1. 手首、指の筋力トレーニングのバリエーションを増やす
  2. 育児の時間配分の調整、負担のかからない工夫
  3. 家族との協力体制について再確認

を行いました。

3ヶ月後

日常生活、育児において、痛みはほとんど気にならなくなりました。

  1. 再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、育児動作工夫の継続
  2. 定期的なセルフチェックの推奨

を行いました。

考察

施術の写真

本症例は、産後のホルモンバランスの変化に加え、抱っこや授乳など育児による手首への負担増加が主な原因となり、右手親指・手首に腱鞘炎を発症したと考えられます。

初期の適切な処置(安静、冷却、固定)と、手技・鍼灸による施術、段階的なリハビリ、育児動作やセルフケアの見直し、家族のサポートにより、3ヶ月で日常生活や育児に支障がない状態まで回復しています。

特に、痛みの軽減だけでなく、筋肉の柔軟性向上や負担の少ない育児動作への改善指導、家族の協力体制の重要性を共有できたことが、回復と再発予防に繋がりました。

ポイント

産後の腱鞘炎は、ホルモンバランスの変化や育児動作(抱っこ、授乳など)による手首への負担が要因となりやすくなります。

初期は安静、冷却、固定などで負担を減らすことが重要です。
手技療法、鍼灸施術、運動療法は、痛みの軽減、炎症抑制、可動域改善に役立ちます。

育児動作の改善、負担の少ない育児グッズの使用、適度な休憩、家族のサポートは、回復と再発予防に不可欠です。
症状改善後も、セルフケア(ストレッチ、筋トレ)の継続が大切になります。

産後の手首や指の痛みでお困りの方は、我慢せず医療機関を受診し、適切な診断と施術、育児動作に関する指導、家族のサポート体制について相談するようにしてください。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院