主訴
2025年4月に、「1週間前のランニング中に右太もも裏を痛めた」とご来院されました。
急にスピードを上げた際に「ピキッ」という痛みを感じ、その後、走るのが困難になったとのこと。週3回10km程度のジョギングをされており、最近マラソン大会に向けて練習量を増やしていたそうです。
症状が改善したらしたい事:
- マラソン大会に出場したい
- ランニングを痛みなく楽しみたい
- 日常生活での違和感をなくしたい

初回施術(受傷後1週間)

右太もも裏(ハムストリングス)に押した痛みと硬さ(硬結)を確認。股関節や膝の動きも痛みで制限され、歩行にもやや影響が出ていました。
過去の左足首捻挫の既往歴も考慮し、全身のバランスも評価しました。
- RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)の徹底指導
- 患部安静のためのテーピング固定
- 周囲の筋肉(太もも前側・内側など)への優しい手技療法(緊張緩和目的)
を行いました。
施術後、痛みは強いものの、太もも裏の突っ張り感が少し和らいだとのことでした。
2回目の施術(2日後)
腫れは軽度。押した痛みは残りますが、範囲は狭まってきましたので、
- RICE処置の継続指導
- 患部周囲へのごく優しい手技療法(循環改善目的)
- 鍼灸施術(炎症抑制、痛みの緩和、骨盤バランス調整目的)
- 痛みのない範囲での股関節・膝関節の運動(自動運動)指導
を行いました。
3回目の施術(4日後)
歩行時の痛みが軽減し、自分で動かしたときの痛みも和らいできたとのことでしたので、
- 患部および周囲への手技療法(柔軟性維持、組織のケア目的)
- 鍼灸施術+電気療法(血行促進、組織修復促進目的)
- 体重を徐々にかける練習、痛みのない範囲での軽いストレッチ(太もも前後)の指導
を行いました。
1週間後(亜急性期)
ほぼ普通に歩けるようになり、軽いジョギングを開始。押した痛みも軽度になってきましたので、
- 患部への少し深めの手技療法(柔軟性改善、癒着防止目的)
- 鍼灸施術+電気療法(血行促進、疼痛緩和目的)を継続
- ストレッチ強度の段階的な引き上げ指導
- 軽い筋力トレーニング(スクワット、ヒップリフトなど)の指導
を行いました。
2週間後(回復期)
ジョギングの距離と時間を延長できるように。患部に違和感は少し残るものの、痛みはほとんどありません。
- 患部の柔軟性・筋力回復目的の手技療法+骨盤調整(ランニングフォーム改善のため)
- 鍼灸施術(痛みの緩和、パフォーマンス向上目的)
- ランニングフォームのチェックと指導
- 下半身全体の筋力トレーニング(ランジなど)の指導
を行いました。
4週間後(リハビリ期)
スピードを上げたランニングも可能になり、患部の違和感も徐々に軽減してきましたので、
- 復帰に向けた実践的なトレーニング指導(坂道走、アジリティなど)
- 鍼灸施術(運動時の違和感・疲労軽減目的)
- ストレッチ、筋力トレーニングの継続指導
- ランニング前後のウォーミングアップ、クールダウンの重要性を再確認
を行いました。
2ヶ月後(競技復帰)
目標としていたマラソン大会に出場し、無事完走。患部の痛みや違和感もほぼ消失しました。
- 再発予防のためのセルフケア(ストレッチ、筋トレ)指導
- ランニング前後のケア徹底、疲労管理の重要性を再確認
を行いました。
考察

本症例は、マラソン練習による負荷増加が右ハムストリングスの肉離れを引き起こしたと考えられます。
過去の足首捻挫による身体バランスの崩れも影響した可能性を考慮しました。
受傷後の適切な処置に加え、早期からの鍼灸施術、段階的な手技療法(骨盤調整含む)、計画的なリハビリ(フォーム指導含む)を行うことで、目標のマラソン大会出場・完走を達成できました
鍼灸や手技は、時期に応じたアプローチに加え、骨盤バランスやランニングフォームも考慮して行いました。
段階的なリハビリとフォーム改善指導が、スムーズな回復と再発予防に繋がり、目標達成に不可欠でした。
ポイント
ハムストリングスの肉離れはランナーに多く、再発しやすいため丁寧なリハビリが重要です。
鍼灸施術は、痛み・炎症抑制、組織修復促進、機能回復、パフォーマンス向上などが期待できます。
手技療法は、筋肉・組織のケア、柔軟性回復に加え、骨盤などのアライメント(骨格バランス)調整の手助けとなり、段階的なリハビリとランニングフォームの改善指導は、再発予防とパフォーマンス向上に不可欠です。
競技復帰には、十分な機能回復、再発予防トレーニング、フォーム改善が重要になります。
ランニング中の肉離れの際は自己判断せず、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)で適切な診断と施術、リハビリ、フォーム指導を受けましょう。
お電話ありがとうございます、
こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院でございます。