主訴
2021年9月に、「3日前のサッカー練習中に右ふくらはぎを痛めた」とご来院されました。
ダッシュ時に「ブチッ」という音と共に激痛が走り、その後、歩いたり爪先立ちしたりするのが困難になったとのこと。
フォワードとして瞬発系の動きが多いものの、当日は練習前のウォーミングアップが不十分だったそうです。高校時代に左足首を捻挫しています。
症状が改善したらしたい事:
- サッカーの練習に完全復帰し、試合に出場したい
- 再発を気にせず、思い切りプレーしたい
- 日常生活での痛みをなくしたい

初回施術(受傷直後~急性期)

右ふくらはぎの内側(腓腹筋内側頭)に明らかな圧痛とへこみを確認。足首の動きも痛みで著しく制限され、体重をかけるのが困難な状態でした。
- RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)の徹底指導
- 患部安静のための包帯固定
- 痛みを避けるための松葉杖使用の検討
- 患部周囲の筋肉への優しい手技療法(緊張緩和目的)
を行いました。
施術後、痛みは強いものの、少し楽な体勢を見つけられたとのことでした。
2回目の施術(2日後)
腫れはピークを過ぎ、熱感も少し引いてきましたが、押したときの痛みは依然として強い状態でしたので、
- RICE処置の継続指導
- 患部周囲へのごく優しい手技療法(循環改善目的)
- 鍼灸施術(腫れ・炎症抑制、痛みの緩和目的)
- 痛みのない範囲での足関節運動(自動運動)の開始指導
を行いました。
3回目の施術(4日後)
腫れや熱感がさらに軽減し、歩行時の痛みが少し和らいできたとのことでしたので、
- RICE処置の継続指導
- 患部および周囲への手技療法(柔軟性維持、組織のケア目的)
- 鍼灸施術+電気療法(血行促進、組織修復促進目的)
- 体重を徐々にかける練習、痛みのない範囲での軽いストレッチ(ふくらはぎ)の指導
を行いました。
1週間後(亜急性期)
歩くときのびっこ(跛行)が減り、自分で動かしたときの痛みも軽減。押した痛みは残るものの範囲は狭まってきましたので、
- 患部への少し深めの手技療法(柔軟性改善、癒着防止目的)
- 鍼灸施術+電気療法(血行促進、疼痛緩和目的)を継続
- ストレッチ強度の段階的な引き上げ指導
- 軽い筋力トレーニング(足指の運動など)の指導
を行いました。
2週間後(回復期)
ほぼ普通に歩けるようになり、軽いジョギングを開始できる状態になりました。押したときの痛みも軽度です。
- 患部の柔軟性・筋力回復を目的とした手技療法
- 鍼灸施術(痛みの緩和、パフォーマンス向上目的)
- ジョギングの距離・時間の段階的な延長指導
- ふくらはぎの筋力トレーニング(カーフレイズなど)の指導
を行いました。
4週間後(リハビリ期)
ダッシュや軽いジャンプも可能に。患部に違和感は少し残るものの、痛みはほとんどなくなりましたので、
- スポーツ復帰に向けた実践的なトレーニング指導(アジリティ、ボールを使った軽い練習など)
- 鍼灸施術(運動時の違和感・疲労軽減目的)
- ストレッチ、筋力トレーニングの継続指導
- ウォーミングアップ、クールダウンの重要性を再確認
を行いました。
2ヶ月後(競技復帰)
サッカーの練習に完全復帰し、試合にも出場できる状態に。患部の痛みや違和感はほぼ消失しました。
- 再発予防のためのセルフケア(ストレッチ、筋トレ)指導
- 練習前後のケア徹底の重要性を再確認
を行いました。
考察

本症例は、サッカー練習中のダッシュ動作による右ふくらはぎ(腓腹筋内側頭)の肉離れです。
受傷直後の適切なRICE処置に加え、早期からの鍼灸施術、段階的な手技療法、そして計画的なリハビリを行うことで、比較的スムーズな競技復帰が可能となりました。
鍼灸や手技は、時期(急性期~回復期~復帰期)に応じて目的(炎症抑制、疼痛緩和、組織修復、柔軟性・筋力回復、コンディショニング)を変えてアプローチしました。
早期からの適切なリハビリ(自動運動、ストレッチ、筋トレ)と段階的な運動負荷の増加が、スムーズな回復と再発予防に不可欠でした。
ポイント
肉離れはスポーツ活動中に多く、受傷直後の適切な応急処置(RICE)が重要です。
鍼灸施術は、急性期の痛み・炎症抑制から回復期の組織修復促進、機能回復、再発予防まで幅広く期待できます。
手技療法は、筋肉の緊張緩和、血行促進、組織のケア、柔軟性回復の手助けとなり、段階的なリハビリも早期回復と再発予防に不可欠です。
競技復帰には、十分な機能回復と再発予防トレーニングが重要です。
肉離れの際は自己判断せず、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)で適切な診断と施術、リハビリ指導を受けましょう。
お電話ありがとうございます、
こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院でございます。