50代女性 ジャンパー膝の改善症例(テニスによる膝への負担、加齢による筋力低下、捻挫)

主訴

2022年5月、1年ほど前から続く左膝のお皿下の痛みで来院されました。

  • 週に1〜2回テニススクールに通い、ダブルスの試合にも参加
  • サーブやスマッシュの際のジャンプ、ダッシュ、ストップ動作で痛みが増強する
  • 加齢による筋力低下を感じている
  • 最近プレー中に膝の不安定感も覚えることがある
  • 運動後や運動開始時、階段の昇降でも痛みを感じる
  • 若い頃に左膝を捻挫している

目標は、テニスを痛みなく楽しめるようになること、試合への積極的な参加、そして痛みのない状態で日常生活を送ることでした。

左膝のお皿の下

初回施術

施術の写真

左膝蓋骨下端の圧痛、大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力低下と緊張、ハムストリングスの柔軟性低下を確認しました。膝関節の屈曲時および伸展時の痛みも誘発しています。

過去に捻挫も経験されているとのことでしたので、膝関節の不安定感と周囲の筋力低下も考慮し、

  1. テニスの一時的な休止と安静を提案
  2. 炎症を抑えるためのアイシングの指導
  3. 大腿四頭筋、ハムストリングス、股関節周りのストレッチの指導
  4. 大腿四頭筋の緊張を緩和する優しい手技療法
  5. 膝関節の安定性を高めるための手技療法

を行いました。

施術後は、痛みがわずかに軽減したように感じるとのことでした。

2回目の施術(1日後)

安静時の痛みは軽減しましたが、圧痛や膝の不安定感が残っているとのことでしたので、

  1. 大腿四頭筋、ハムストリングスの緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 膝蓋骨下端の圧痛点(犢鼻、膝眼など)、大腿四頭筋、膝周囲の走行に沿った鍼施術
  3. 鎮痛、血行促進、炎症抑制、膝関節の安定性向上、全身の機能改善が目的の鍼施術
  4. 自宅で行える簡単なストレッチの指導(大腿四頭筋、ハムストリングス、股関節周りのストレッチ、カーフレイズなど)
  5. 温熱療法の指導(入浴など)

を行いました。

合わせて、運動時の動作における注意点や、ウォーミングアップの重要性についての説明も行っています。

3回目の施術(2日後)

日常生活での膝の痛みが少し軽減してきたとのことでしたので、

  1. 大腿四頭筋、ハムストリングスの緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 膝関節周囲の靭帯や関節包へのアプローチ
  3. 鎮痛、血行促進、炎症抑制、膝関節の安定性向上、全身の機能改善が目的の鍼施術
  4. 大腿四頭筋を中心とした軽い筋トレ指導(椅子スクワット、レッグエクステンションなど)
  5. 体幹トレーニング、バランス訓練の指導

を行いました。

合わせて、練習再開時の注意点、クールダウンの重要性についての説明も行っています。

1か月後

テニスの軽いラリー程度であれば痛みを感じなくなり、膝の不安定感も軽減したとのことでしたので、

  1. 徐々に練習強度を上げていく際の注意点の説明
  2. 腿四頭筋、ハムストリングス、臀部を中心とした筋トレ指導(スクワット、ランジ、ヒップリフトなど)
  3. ストレッチ、バランス訓練の指導

を行い、合わせてサポーターの使用も提案させていただきました。

2か月後

ほぼ通常のテニスプレーが可能になり、ダブルスの試合にも短時間であれば参加できるようになったとのことでしたので、

  1. 練習後のケア(アイシング、ストレッチ)
  2. 体幹トレーニング
  3. フットワーク

の指導を行いました。

3か月後

テニスを以前のように楽しめるようになり、試合にも積極的に参加できるようになりました。
膝の痛みや不安定感もほとんど気にならないそうです。

再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、バランス訓練、運動前後のケアは継続しつつ、定期的なセルフチェックと体の使い方を意識することを推奨させていただきました。

考察

施術の写真

本症例は、テニスによる膝への負担に加え、加齢による筋力低下、過去の左膝捻挫による影響が複合的に作用し、左膝にジャンパー膝(膝蓋腱炎)を発症したと考えられます。

初期のテニスの一時休止と安静指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、大腿四頭筋やハムストリングスの緊張緩和、膝関節の安定性向上、全身のバランス調整に繋がりました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチに加え、加齢による機能低下や過去の怪我の影響を考慮した経穴を選択することで、より総合的な施術作用を目指しました。

リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング、体幹トレーニング、バランス訓練)を指導することで、膝関節周囲の機能回復を促し、テニス復帰もサポートしています。

テニス前後のケア、適切なフォームの指導、体の使い方、バランス能力の改善なども、施術作用を高め、長期的な症状の安定に不可欠でした。

ポイント

ジャンパー膝は、年齢や過去の怪我、筋力低下なども影響します。
発症初期の安静、冷却、負担軽減、全身のバランス調整が大切です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、大腿四頭筋やハムストリングスの緊張緩和に加え、全身調整や機能改善にも役立つ施術法であり、手技療法は、膝関節周囲の筋肉の柔軟性を高め、関節の負担を軽減するだけでなく、全身の歪みを整え安定性を高める作用も期待できます。

リハビリとしての段階的な運動療法は、膝関節周囲の機能回復とスポーツ復帰に欠かせません。
スポーツ前後のケア、適切なフォームの指導、体幹トレーニング、バランス訓練は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に繋がります。

膝の痛みでお困りのスポーツ愛好家は、自己判断せずに、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と施術、運動指導を受けることが大切です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院