30代男性 ジャンパー膝の改善症例(ジャンプや急な動作の繰り返しによる膝蓋腱への過度な負担、体の歪み)

主訴

2021年12月、半年前から続く左膝のお皿下の痛みで来院されました。

  • 週に2〜3回、社会人バスケットボールチームで活動
  • 最近、練習量が増え、試合数も増えている
  • 試合や練習中、特にジャンプやダッシュ、急な方向転換の際に痛みが増強する
  • 運動後や運動開始時にも痛みを感じる

目標は、練習への早期復帰、ジャンプ力や瞬発力の向上、そして痛みのない状態で日常生活を送ることでした。

左膝のお皿の下

初回施術

施術の写真

左膝蓋骨下端の圧痛、大腿四頭筋(特に外側広筋)の緊張が強く、膝関節の屈曲・伸展時に痛みも誘発していました。
過去に右膝の怪我も経験されているとのことでしたので、体の歪みも考慮し、

  1. 練習頻度と強度の一時的な調整を提案
  2. 炎症を抑えるためのアイシングの指導
  3. 大腿四頭筋、ハムストリングスのストレッチの指導
  4. 大腿四頭筋の緊張を緩和する優しい手技療法
  5. 全身のバランス調整を目的とした手技療法

を行いました。

施術後は、痛みがわずかに軽減したとのことでした。

2回目の施術(1日後)

安静時の痛みは軽減しましたが、圧痛が残っているとのことでしたので、

  1. 大腿四頭筋、ハムストリングスの緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 膝蓋骨下端の圧痛点(犢鼻、膝眼など)、大腿四頭筋、膝周囲の走行に沿った鍼施術
  3. 鎮痛、血行促進、炎症抑制、全身の歪み改善が目的の鍼施術
  4. 自宅で行える簡単なストレッチの指導(大腿四頭筋、ハムストリングス、股関節周りのストレッチなど)
  5. 温熱療法の指導(入浴など)

を行いました。

合わせて、運動時の動作における注意点や、ウォーミングアップの重要性についての説明も行っています。

3回目の施術(2日後)

バスケットボールの軽いドリブルやシュート練習であれば痛みを感じにくくなってきたとのことでしたので、

  1. 大腿四頭筋、ハムストリングスの緊張を緩める穏やかな手技療法
  2. 骨盤や股関節の調整
  3. 鎮痛、血行促進、炎症抑制、全身の歪み改善が目的の鍼施術
  4. 大腿四頭筋を中心とした軽い筋トレ指導(ミニスクワット、レッグエクステンションなど)
  5. 体幹トレーニングの指導

を行いました。

合わせて、練習再開時の注意点、クールダウンの重要性についての説明も行っています。

1か月後

以前よりも痛みを感じずにチーム練習に参加でき、ジャンプ時の痛みも軽減してきたとのことでしたので、

  1. 徐々に練習強度を上げていく際の注意点の説明
  2. 腿四頭筋、ハムストリングス、臀部を中心とした筋トレ指導(スクワット、ランジ、ヒップリフトなど)
  3. ストレッチの指導

を行い、合わせてサポーターの使用も提案させていただきました。

2か月後

ほぼ通常の練習メニューをこなせるようになり、試合への出場機会も増えてきたとのことでしたので、

  1. 練習後のケア(アイシング、ストレッチ)
  2. 体幹トレーニング
  3. 左右のバランスを意識したトレーニング

の指導を行いました。

3か月後

運動時に痛みはほとんど気にならず、パフォーマンスも向上するようになりました。
再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、運動前後のケアは継続しつつ、定期的なセルフチェックと体の使い方を意識することを推奨させていただきました。

考察

施術の写真

本症例は、ジャンプや急な動作の繰り返しによる膝蓋腱への過度な負担に加え、過去の右膝の怪我による体の歪みが影響し、左膝にジャンパー膝(膝蓋腱炎)を発症したと考えられます。

初期には、練習量の調整と安静指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用することで、炎症の抑制、痛みの軽減、大腿四頭筋やハムストリングスの緊張緩和、全身のバランス調整に繋がりました。

鍼灸施術においては、局所の疼痛部位への直接的なアプローチに加え、全身のバランスを整え、過去の怪我の影響を考慮した経穴を選択することで、より総合的な施術作用を目指しました。

リハビリとして、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング、体幹トレーニング)を指導することで、膝関節周囲の機能回復を促し、プレー復帰もサポートしています。

練習前後のケア、適切なフォームの指導、体の左右バランスの意識なども、施術作用を高め、長期的な症状の安定に不可欠でした。

ポイント

ジャンパー膝は、ジャンプ動作を繰り返すスポーツ愛好家にも多く見られ、過去の怪我や体の歪みが影響することもあります。
発症初期には、運動負荷の調整、冷却、負担軽減、全身のバランス調整が大切です。

鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、大腿四頭筋やハムストリングスの緊張緩和に加え、全身調整にも役立つ施術法であり、手技療法は、膝関節周囲の筋肉の柔軟性を高め、関節の負担を軽減するだけでなく、全身の歪みを整える作用も期待できます。

また、リハビリとしての段階的な運動療法は、膝関節周囲の機能回復とスポーツ復帰に欠かせません。
練習前後のケア、適切なフォームの指導、体幹トレーニング、左右のバランスを意識したトレーニングは、施術作用を高め、長期的な症状の安定に繋がります。

膝の痛みでお困りのスポーツ愛好家は、自己判断せずに、早期に専門機関(接骨院、鍼灸院など)を受診し、適切な診断と施術、運動指導を受けることが大切です。

こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院