主訴
2021年2月に来院されました。
数ヶ月前から続く右足裏、特に踵から土踏まずにかけて痛みがあるとのこと。
安静にしていると痛みは軽減しますが、朝起きた時や立ち上がり、歩き始めには強い痛みを感じ、日中も立ち仕事や長時間の歩行で痛みが悪化するとお悩みでした。
症状が改善したらしたい事:
- 長時間の立ち仕事や歩行を苦痛なく行えるようにしたい
- 朝起きた時や歩き始めの痛みをなくしたい
- 趣味の運動(ウォーキング)を再開したい

初回施術

右足底(特に踵骨内側前方から土踏まずにかけて)の圧痛、足関節の背屈可動域に軽度の制限、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強い緊張を確認しましたので、
- 安静の重要性を説明
- 炎症抑制のアイシング指導
- 足底への負担を軽減するインソールの使用を提案
- 下腿三頭筋の緊張を緩和する優しい手技療法
を行いました。
施術後、痛みがわずかに軽減したように感じたとのことでした。
2回目の施術(1日後)
歩き始めの痛みは依然としてあるものの、日中の痛みは幾分軽減してきたとのことでしたので、
- 下腿三頭筋、足底筋膜の緊張を緩める穏やかな手技療法
- 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制が目的の鍼灸施術
- 自宅で行える簡単なストレッチの指導(アキレス腱伸ばし、足底筋膜伸ばしなど)
- 温熱療法の指導(足浴など)
- 靴の選び方、立ち方の注意点の説明
を行いました。
3回目の施術(2日後)
歩き始めの痛みが以前より少し軽減し、長時間の立ち仕事後の痛みも和らいできたとのことでしたので、
- 下腿三頭筋、足底筋膜の緊張を緩める穏やかな手技療法
- 全身のバランス調整、鎮痛、血行促進、炎症抑制が目的の鍼灸施術
- 足関節の可動域を広げる軽い運動療法(足首の背屈・底屈運動、内外反運動など)
- 仕事中の休憩の重要性と具体的な方法、体重管理の重要性を説明
を行いました。
1か月後
日常生活での痛みは軽減し、以前より楽に過ごせるように。
しかし、長時間の立ち仕事後や運動後にはまだ痛みを感じるとのことでしたので、
- 下腿三頭筋、足底の筋トレ(カーフレイズ、タオルギャザーなど)
- ストレッチ
- インソールの使用、仕事中の休憩、体重管理の提案
を行いました。
2か月後
長時間の立ち仕事後の痛みも軽減し、趣味のウォーキングを短時間であれば楽しめるようになったとのことでしたので、
- 下腿三頭筋、足底の筋トレのバリエーションを増やす(階段を利用したカーフレイズなど)
- ウォーキング時の注意点、靴の選び方などを再度指導
を行いました。
3か月後
日常生活、仕事、趣味において、痛みはほとんど気になくなったとのことです。
引き続き再発予防のためのストレッチ、筋力トレーニング、インソールの使用を継続してもらい、さらに、定期的なセルフチェックを推奨いたしました。
考察

本症例は、立ち仕事による足底への慢性的な負担が主な原因となり、足底筋膜炎を発症したと考えられます。
初期の安静指導、アイシングに加え、早期から鍼灸施術と手技療法を併用したことで、炎症の抑制、痛みの軽減、筋肉の緊張緩和を達成することができました。
鍼灸施術では、局所の疼痛部位への直接的なアプローチと、下腿三頭筋の緊張緩和、全身のバランス調整を目的とした経穴選択により、総合的な改善を目指しています。
リハビリでは、痛みの程度に合わせた段階的な運動療法(ストレッチ、可動域訓練、筋力トレーニング)を指導。その結果、足底の機能回復が促され、再発予防にも繋がりました。
長期的な症状の安定のために、インソールの使用、靴の選び方、立ち方の指導、体重管理といった生活習慣の改善も行っています。
ポイント
足底筋膜炎は、足底への慢性的な負担、運動不足、体重の変化などが複合的に関与しています。
早期改善のためには、発症初期の安静、冷却、足底への負担軽減が重要です。
鍼灸施術は、鎮痛、消炎、血行促進、筋緊張緩和に作用しやすく、手技療法は、下腿三頭筋や足底筋膜の緊張緩和、足関節の動きを滑らかにする作用が期待できます。
段階的な運動療法は、足底の機能回復と再発予防に不可欠です。
インソールの使用、適切な靴の選択、立ち方の指導、体重管理は、施術作用を高め、長期的な症状の安定に繋がります。
症状が改善した後も、セルフケア(ストレッチ、筋力トレーニング)を継続することで再発の予防を期待できるでしょう。
足裏の痛みでお困りの方は、自己判断せずに早期に専門機関を受診し、適切な診断と処置、生活指導を受けることが重要です。
お電話ありがとうございます、
こころ接骨鍼灸マッサージ院 沓谷本院でございます。